古物商許可証の取得ガイド|アンティーク販売を始める方へ
アンティーク・ヴィンテージ品を販売する際には、古物営業法に基づく「古物商許可証」が必要です。これは盗品や不正品の流通を防ぎ、安心・安全な取引環境を守るために設けられた制度です。
当モール「ANTIQUE LEAVES」でも、出店者の皆さまに取得をお願いしており、以下に取得までの流れをまとめました。
1. 古物商許可が必要なケース
- 中古品・アンティークを仕入れて販売する
- 修理やリメイクをして販売する
- 委託販売を受け、売れた際に手数料を得る
- 古物を買い取り、貸し出す(レンタル)
- 古物を交換する
※一方、自分で使う目的で購入した物を手放す場合や、無償でもらった物を売る場合には許可は不要です。
2. 申請前の準備
- 営業所の確保
自宅・店舗・オフィス・倉庫などを営業所として届け出ます。賃貸の場合は貸主の使用承諾を求められることがあります。 - 常勤管理者の選任
各営業所ごとに、法令を理解し業務を監督できる管理者を置きます(個人申請では多くが本人)。 - 欠格要件の確認
一定の犯罪歴・破産復権未了などに該当する場合、許可が出ません(法人は役員全員と管理者が対象)。
3. 個人か法人かを決める
- 個人で申請…本人の住民票や身分証明書を提出
- 法人で申請…役員全員分の書類に加え、定款・登記事項証明書が必要
4. 取扱う古物の品目を決める
古物は法律で13分類に分かれています。主に扱うもの(例:美術品類、衣類、道具類など)を申請時に選びます。複数選択も可能ですが、実際に扱う予定の品目に限りましょう。
参考:古物の13品目(要点)
- 美術品類(絵画・骨董・アンティーク等)
- 衣類(古着・着物・子ども服等)
- 時計・宝飾品類(時計・宝石・アクセサリー等)
- 自動車/自動二輪・原付/自転車類(車体・部品等)
- 写真機類(カメラ・レンズ・双眼鏡等)
- 事務機器類(PC・コピー機・電話機等)
- 機械工具類(工作機械・電動工具等)
- 道具類(家具・スポーツ用品・CD・レコード・ゲームソフト等)
- 皮革・ゴム製品類(バッグ・靴・毛皮等)
- 書籍
- 金券類(商品券・株主優待券等)
申請窓口は営業所を管轄する警察署の生活安全課・防犯係です。事前相談により書類不備や申請ミスを防げます。特殊なケース(賃貸・倉庫併用・共同スペース等)もこの段階で確認しましょう。
6. 必要書類を集める
(例:個人の場合)
- 住民票(マイナンバー省略・本籍記載)
- 身分証明書(本籍地の市区町村で発行)
- 略歴書(過去5年の経歴)
- 誓約書
(法人の場合)
- 上記に加えて定款・登記事項証明書、役員全員分の書類
7. 申請と審査
- 申請先:営業所を管轄する警察署
- 手数料:19,000円(自治体により支払い方法が異なるため要確認)
- 審査期間:おおよそ40日程度(修正対応等で2か月以上となる場合あり)
8. 許可取得後
- 許可証は有効期限なし(ただし営業開始・休止に関する規定あり)
- 営業所・管理者・取扱品目・取引サイトURLなどに変更があれば、速やかに変更届(追加・変更・廃止)と運営への連絡が必要
- 古物台帳の整備・保存、本人確認の適正運用など、営業者としての義務を履行
9. 営業所の設定(よくあるケース)
A. 自宅・自己所有物件
原則として営業所として使用可。地域・建物規約で商行為の制限がないか事前確認。
B. 賃貸物件
- 契約者が申請者(個人/法人)であること
- 使用目的が住居用の場合、貸主の使用承諾書が求められることあり
C. 家族・知人所有物件の一部を使用
所有者の使用承諾書を求められることあり(管轄によって運用差)。
10. ネット販売・URL 届出
ネットで古物を販売・買取する場合、利用するサイトURLの届出が必要です(自社ドメイン/モール内のショップページ/出品者プロフィールの固有URL等)。
疎明資料の例(URLと申請者の紐付け)
- ドメイン所有者・使用者情報の画面印刷(WHOIS・管理パネル等)
- プロバイダからの登録完了通知・設定情報・ユーザー証明書等
- モールやプラットフォームのアカウント画面のスクリーンショット
自社ECに加え、モール内ページURLの追加届出を忘れないでください。
許可後は、対象ページに公安委員会名・許可番号・屋号(又は氏名/法人名)を表示してください。
11. 欠格要件(要約)
- 一定の犯罪歴がある場合(執行猶予期間中など)
- 破産者で復権を得ていない場合
- 住所不定、暴力団員 等
- 法人の場合は役員全員と各営業所の管理者も対象
該当の可能性がある場合は、申請前に管轄警察へ相談してください。
12. 表示・運用の実務(サイト・店舗)
- 特定商取引法に基づく表記:販売業者名(法人は法人名/個人は本名)、所在地(番地まで)、連絡先(電話必須・メール任意)、通販責任者名、古物商許可(公安委員会名+番号)を明記
- 許可番号の掲示:対象URL(トップ又はサブページ)や店舗内で見やすく表示
- 取引記録・本人確認:台帳記載・身分確認など、法令に沿って運用
よくある質問(FAQ)
Q1. 自宅を営業所にできますか?
A. 可能です。賃貸は貸主の承諾が必要な場合があります。マンションは管理規約の確認も。
Q2. モールだけで販売します。自社サイトはありません。届出は必要?
A. はい。モール内のショップページURLを届出してください。URL疎明資料として管理画面のスクリーンショット等を用意。
Q3. 許可後に住所やURLが変わったら?
A. 速やかに変更届が必要です。ANTIQUE LEAVES運営にも必ずご連絡ください。
Q4. どの品目を選べばいい?
A. 主力の商材をメイン1品目に設定し、実際に扱う予定のある品目のみ追加してください。
Q5. 行政書士に依頼すべき?
A. ご自身でも申請可能です。書類作成や疎明資料に不安がある場合は専門家活用も選択肢です。
チェックリスト(提出前最終確認)
- 営業所の要件確認(使用承諾の要否/独立性)
- 管理者の常勤性と欠格要件確認
- メイン品目+必要な追加品目を過不足なく選択
- 必要書類の揃い(個人/法人で差異あり)
- ネット販売のURL届出(自社EC/モール)と疎明資料
- 手数料19,000円の納付方法確認
- 特商法ページ・許可番号の掲示準備
まとめ
- 古物商許可は、中古品・アンティークをビジネスとして販売するうえで必須です。
- 準備から審査完了まで、余裕を持って2か月程度を見込みましょう。
- 取得後も、法令遵守・記録管理・URL届出・表示義務を徹底することが、信頼される販売者への第一歩です。

来月に引っ越しをするので、新居にて使いたいと思います。今回は、素敵な作品をありがとうございました!